暦も色彩も同じ、美の秘密を見出す人
暦の事を本気で理解したいと思ったら、何よりもまず美を見出す力を鍛えることだ。
私の長年の観察によれば、「13の月の暦」を理解し使う力は、色彩を理解する能力と比例している。暦も色彩も、自然界の秩序、リズムやハーモニーを映し出すものとして同質だからだ。
本当にそれを理解している人にとっては、道具はいらない。自分の身体が一つあればそれで良い。しかし理解していない人は、たくさんの道具を求めて無駄にさまよう。部分だけを見て全体を見ることをせず、だから常に何が大切なのかのポイントを外している。ということもわからない。
少し昔のことだ。246沿いのバス停で渋谷行きを待っていたら、私より少し年上と思われるご婦人から声をかけられ、「失礼ですが、口紅はどちらのですか?とてもきれいなので、同じものが欲しいので教えて頂けますか?」と質問された。
「この辺のドラッグストアだったらどこでも買えますよ」と現物(プチプラ・笑)を取り出しお見せして別れた。バスを待つ間の短い時間だったので仕方がないが、口紅を教えたところで何の役にも立てなかったんじゃないかと思う。
何故なら、本当に大切なのは口紅(道具)ではなく、色彩だから。自分の色を知る力さえあれば口紅ブランドは関係ない。ブランドをたくさん知ることよりも、色の本質を知るべきなのだ。
しかしその力が自分にあることを知らない人は、ブランドと色番号に意味があるのだと勘違いする。暦も同じ。本質から外れたいろいろな本を読み、あれこれお勉強して知識を詰め込んだとしても、わかったつもりになるだけで、かえって混乱した状態が拡大されるだけだ。
逆の例もある。つい先日所用のため世田谷美術館に行った時のこと。美術館ギャラリーで、年配の女性から呼び止められ、私の頭の天辺からつま先までを「素晴らしいハーモニーが聞こえてくる」と爽やかにべた褒めされた(笑)。
見ず知らずの方からいきなりなので驚いたが、その方はすでに美術館までのバスの中で私を見かけていたらしい。同じバス停で降りたので話しかけようと追いかけたが、追いつかなかったと教えてくれた(私は歩くのが早い)。
ご自身でも絵を描かれるその方は、私の何を見て褒めてくれたのだろうか。その日の私の格好は、いつものようにTシャツにパンツ、カーディガンにスカーフという何の変哲もないアイテム。しかし私なりのシンプルな美の法則に従って全体をコーディネートしているのは言うまでもない。
おそらくその方は、その法則を瞬時に読み取ってそれ自体を賞賛してくださっていたのだと思う。部分だけを見ている人にはそれは決して見えない。法則はその背後にあるものだからだ。こういう方が「13の月の暦」を使ったら、たちまちその本質を理解し、時間の美しさを見出し、子供のように大いに楽しむことだろう。
「美を見出す力を鍛える」といっても、決して難しく考える必要はない。自分が何を美しいと感じるのか、それをひたすら追いかけて行けば良い。私たちは自らが熟考しているものになる(By プラトン)のだから。(L)
今日の写真はフィレンツェのサンジョバンニ礼拝堂、八角形のドーム天井です。
電気の月19日 10・星(KIN88)
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