オールドコーチに宿る手仕事の本質
大昔のコーチのバッグを見かけると、「そうそう、これがコーチだよ!」と嬉しくなる。
昨朝、天真体道瞑想クラスに参加されたOさんが、昔のコーチのバッグで現れた。伺うと30年以上前のものだという。
80年代の終わり頃、マンハッタンでは、ほとんどの女子がコーチのバッグを使っていたんじゃないかな。それも、用途に合わせて複数個持っていたと思う。当時は高級品では無く実用品として、みんなに愛されていた印象がある。
今のファンシーなコーチからは想像もつかないが、もともと野球のグローブ作りの工房からスタートしたコーチのバッグは、質実剛健。無地で飾りのない丈夫なレザー。しっかり整ったステッチ。シンプルな金具。バッグの内側は皮そのまま。しかしエッジの処理が秀逸で身体に馴染んだ。ちょっと重たかったけれど。
色と形には本当にたくさんのバリエーションがあり、コーチの本質、確かさは、全てのバッグに貫かれていた。私もかつては、5、6個はコーチを持っていたと思う。酷使してもびくともせず日々愛用していたが、人に譲ったりして今では小さなものが手元に一つだけ残っている。
現在のコーチを悪くいうつもりはないけれど、私にとってのコーチは、やはり「本質」剥き出し、質実剛健な昔のコーチ。今ではそれをオールドコーチと呼ぶらしい。
昔の職人さんの誠実な手仕事が伝わる小さなバッグを、これからも大切にしようと思う、本質を見失わないために。このバッグを見ると、アメリカも捨てたもんじゃないよな、と思うのだ。トップ画像は私のコーチ(30年もの?)内部の刻印で、MADE IN THE UNITED STATESとある。(L)
自己存在の月15日 11・手(KIN167)
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